「誤表示」という名の食品偽造問題が次々と明るみになる今日だが、その背景にあるものは経済システムの歪みと言っても過言ではない。現代社会が抱える大きな問題が潜んでいるのだ。
アベノミクスによる円安効果により大手製造業の業績が大きく改善しているようである。円安になったのだから輸出産業の利益が増加するのは当然であり、それだけのことである。 しかし、円安の恩恵を受けない数多くの業態も、業績を上向かせることが求められている。これは上場企業であれば避けられない。
そもそも、食品やサービスの質といったものを、向上し続けることなど可能なのだろうか。あるいは顧客はそれを望んでいるだろうか。しかし経済システムがそれを強いる。この社会の至上命令なのである。
品質の向上には限界がある。それに直面した経営者の打つ手は限られる。最もポピュラーな手段がコストカットだろう。まずは人件費をギリギリまで下げるが、それにも限界がある。そうなると手を入れるところは製造原価しかなくなる。かといって売価を下げたら何の意味もなくなる。”苦労”が水の泡だ。だから「禁じ手」を使ってでも見かけの品質を維持し、売上高は維持しなくてはならないのだ。